救命救急を勉強しよう

〜僕らにだって出来る事はある〜





原本:菊地繁治
編集:豊島多佳子






心臓は、全身に酸素と栄養を運ぶための血液を送り出す ポンプの役目をしています。

心臓が止まり全身に血液が流れなくなると、呼吸が止まり、 脳の活動も停止し、最悪は死に至ります。

心臓が止まる事を
『心停止』
呼吸が止まり、自分で息が出来なくなる事を
『呼吸停止』
心臓と呼吸の両方が止まることを
【心肺停止】といい一番危 険な状態です。

呼吸が止まっていたら出来るだけ早く
『人工呼吸』をしてください。
心臓が止まっていたら
『心臓マッサージ』『人工呼吸』の両方が必要です。

「人工呼吸」や「心臓マッサージ」などの処置をする事を『心肺蘇生法』英語ではCPR(しーぴーあーる)といい総称して『救命救急法』といいます。

心停止から5分以内のCPRで多くの命が助かります。 逆にいえば、5分以上経過すると1分1秒毎に助かる可能性は低くなります。


だから「呼吸停止」の時点で出来るだけ早く「心肺蘇生法」を行なってください。

次の「命のリレー」はあなたから始まるかもしれません。

「命を繋げる」その人はあなたの大切な人かもしれません。

私達にも出来る事はたくさんあります。

「そのとき自分は何ができるのか?」
一度真剣に考えてみて下さいませんか?







心肺蘇生法を行うには「自分の命を大切にする」ことがとても大切です!
「自分の命の大切さ」を知っている人は自分の命を大切に守りながら、他の命にもやさしくなれます。
心肺蘇生はそうした「思いやりの心」から発達しました。
あなたは、自分の命を守りながら、大切な人を守れますか?!



ここで質問です
「目の前で、あなたの大切な人が倒れています!!」
 さあ、どうしますか??
          ↓     ↓
答えは
やさしく声をかけ、意識を確認することです。
「どうしたの?」「大丈夫?」と肩を軽くたたきながら、声をかけてください。

  
「倒れている?」
  「寝ているだけ?」
  「呼吸している?」
  「血が出ている?」
  「怪我をしている?」
  「何か吐いている?」


など、見た目の観察も同時に出来ると「自分の身を守る事」にもつながります。

もし、やさしく声をかけても返事や反応が無いなら、今度は大きな声で声をかけてください!
(この時、
無理に体をゆすったり、体を起こしたりは絶対にしないでください。

それでも反応や意識が無いときは
絶対にその場、倒れている人の側から離れず、
『助けて下さい!だれか来て下さい』
と大声で叫んで人を集めてください。


携帯電話を持っている方はすぐに【119】番通報
をして救急車を要請してください。

公衆電話で通報するときは
「赤いボタンを押して119番」を押してください。(緊急通報はお金はいりません)

電話をする時も一回深呼吸して、
『今おじいさんが、大空公園で倒れています。呼んでも返事しません。救急車をお願いします』
というように
「いつ」「どこで」「誰が」「どんな状態か」をゆっくりと伝えてください。


ここまで来るとあと少しです。
あとは
救急車が到着するまでの6分〜10分間

あなたの情報をもとに、救急救命のプロが電話で分かりやすく
対処法を教えてくれます。


「気道確保」
「心臓マッサージ」
「人工呼吸」
「怪我や火傷の処置法」などなど

  あなたは、それらの指示を焦らずに実行するだけです。
  出来るだけ多くの人に協力してもらって命のリレーを繋げてください。


見ず知らずの方への声かけには「ためらい」が、大切な人になればなる程「あせり」が出ます。
きっと「怖い」と思う心が、あなたを支配するでしょう。

でも、
「深呼吸を一つ」して、倒れている人にやさしく声をかけることから始めて下さい。
意識が無い、怪我をしているなどの異常があれば
119番通報をして指示をあおいでください。

これが心肺蘇生の第一歩です。
これが救命救急です

この判断があなたと、あなたの大切な人を救います。





     「倒れている?」
     「寝ているだけ?」
     「呼吸している?」
     「血が出ている?」
     「怪我をしている?」
     「何か吐いている?」
など、見た目の観察も同時に出来ると「自分の身を守る事」にもつながります。

ではなぜ、人の命を繋ぐ現場で「自分の身を守る事」が必要なのでしょうか?

「感染症」という言葉を聞いたことはありませんか?
血液や唾液などから細菌やウイルスが感染して起こる病気のことです。
中でも血液は感染力が強く、肝炎ウイルス(B型・C型など)、エイズ(HIV)が有名です。

家庭だけではなく医療現場においても手洗いは感染予防に大変有効です。
しかし、医師や看護師が感染の危険性の高い血液などを素手で直接触ることはありません。

手術などの感染の危険のある処置には必ず手袋とマスクを着用します





つまり救命救急の現場においては

*血液を素手で触らず、ナイロン手袋など水を通さないものを介して行動する。
*人工呼吸のときも口には直接触れず「人工呼吸用マスク」や 「ポケットマスク」などを使用する。
*自分に傷や怪我があるときは決して無理をしない。


このように「自分を守る術」 = 「人の命を安全につなぐ」
これを知ってこそ危険な現場でも自分を守りながら行動することができるのです。


病気の感染から自分を守る事を覚えないと自分が後でこまる事になります。
「倒れている人は、どんな病気を持っているのか分からない」
という事を必ず覚えておきましょう。





「自分で吸った空気を他の人に吹き込んでもダメなん じゃないですか?」
「口から吐く息の中に酸素は残っているの?」

いい質問ですね。
空気中に含まれる酸素の量って一体どれくらいか知っていますか?
「全部酸素だよ!」
そう思うかも知れません。
でも実は空気中の酸素の量は全体の約21%(パーセント)、あとは二酸化炭素や窒素などの成分です。


「それなら人が吐く息は二酸化炭素だよ。人は酸素が無いと生きていられないよ?」
確かにそうですね。
でも本当は「呼吸して吐いた息の中には、まだ比較的多くの酸素が残っている」んです。

両手に怪我をしている時は、自分でご飯が食べれられないから誰かに食べさせてもらうように
人工呼吸は
「自分で呼吸が出来ない人に対し、吐く息の中に残った酸素を使って止まった呼吸のお手伝いをする事」なのです。

『循環サインの確認』とは人工呼吸を行い、自分の力で呼吸(自発呼吸)ができているかを確認することをといいます。
胸の上下の動きを見たり、鼻や口に耳をよせて呼吸の音を感じたりしてください。
同時にまぶたの動きや表情などで意識の確認、脈拍などの心臓の動きも確認します。
「自発呼吸が戻った」、「意識が少しでも回復した」ら救急車が到着するまで出来るだけしかりと声をかけ続けてください。

もし回復してもまた再度呼吸が止まったら、すぐに人工呼吸を再開してください。
呼吸停止してすぐに心臓が停止する場合が多いからです。
心臓が停止した場合はすぐに
「人工呼吸2回 → 心臓マッサージ15回」を交互に開始してください。





はじめに心臓が止まるとどうなるかをお話しました。

「心臓は、全身に酸素と栄養を運ぶための血液を送り出す ポンプの役目をしており、心臓が止まり全身に血液が流れなくなると、呼吸が止まり、 脳の活動も停止し、最悪は死に至ります。」

血液の中には酸素が含まれています。
血液は体中の細胞に酸素と栄養をとどける運搬車と同じ役目をしています。


頭の中の脳に酸素が運ばれなくなると、脳細胞が先に死滅してしまい、一度死滅した脳細胞は二度と再生出来ません。
脳は体をコントロールするコンピューターの働きをする唯一の器官であり、生命活動を維持する最も大切な部分です。


脳全体の機能が完全に停止すると『脳死』状態になり、その先には死が待っています。
脳細胞の死滅を回避することが出来る時間は呼吸停止から5分、心停止からは3分以内の脳への酸素の供給です。

人工呼吸が人の口から口への酸素供給役ならば、「心臓マッサージ」は人の手を使って、止まった心臓を上から圧迫し、人工的に拍動させ全身に血液を送るポンプ役なのです。

心臓を押す速さは、1分間に100回のペースで15回続けて行ってください。
(心臓マッサージ15回+人工呼吸2回)を連続して4回行います。
その後循環サインの確認を行います。



心臓マッサージの簡単練習法


*練習時の禁忌事項 (絶対にしてはいけないこと)*

友達同士など生身の人間を心臓マッサージの人形に見立てて練習するのは絶対にダメ。
心臓震盪(心臓のケイレン)などの心臓停止や肋骨の圧迫骨折を引き起こします。

練習は、必ず安全な場所で、床、机、椅子などの硬いものの上で練習しましょう。



簡単練習
1)両手の指を伸ばし、手のひらを重ねます。
2)肘(腕)をまっすぐに伸ばし、右図左手の赤い部分で床などを押します。
(このとき1分間に100回押せるかチャレンジして、リズムの感覚をつかんでください。)
3)慣れたらペットボトルに2リットルの水を入れ、横倒しにしたら上から1)〜2)と同じように
練習してください。
このときペットボトルに同じ圧がかかるように押してください。


(おまけ)
気道確保の姿勢を自分で体験して覚えましょう

寝転がり、普通に顔を上に向けている時と、アゴを上に向けた時、どっちが喉の奥が開き、胸が大きく動きますか?
   答え:アゴを上に向けた時です。
では座っているとき、頭が下に向いている時と、まっすぐ前を向いている時では、どちらの姿勢の息がしやすいですか?
  答え:まっすぐ前を向いている時です。

そうですね。
咽は真っ直ぐ上に向かい口に届きますが、口は開くことも閉じることも出来ますよね。
つまり、口が開き、咽とまっすぐに繋がれば息はしやすくなります。
あとは
舌が息の通り道である気道を塞がないようにすることが大切です。

心肺蘇生法では「仰向けに寝ている人の顎を上げて咽を開く」
喘息や風邪などで息が苦しい人には「座った姿勢」がいいんだよ。






心臓の上にバットやボール・硬い物が当たると心臓がビックリして停止してしまう時があります。

何かがぶつかったショックで心臓が停止してしまう事を
『心臓震盪』といいます。
心臓震盪は小さな衝撃でも起こる急におこります。
この時心臓は完全に止まっているわけでなく、小さく震えてケイレンしている状態です。


心臓のことば
『もう〜ビックリしたよ〜!! なんで驚かすの! あんまりビックリしからどうやって動けばいいのか分かんなくなったよーーー!困った・困った・困った・困った』
こんな心臓のこまった状態を医学的に
『心室細動』といい、危険な状態です。

心臓を助けられる勇気のあるヒーローはいないの?

ハーイ 僕なら心臓を助けられるよ!
そこに
AED(えーいーでぃ)が登場して来た。

心臓:あなた見た事ないけど何ができるの?
AED:僕はね、心臓の状態を調べて、止まっている心臓を動かし てあげる事ができるんだ。
心臓:そんなに頭がいいの?
AED:僕一人では何も出来ないけど、僕にお手伝いできる人が居てくれれば大丈夫だよ!
心臓:何をするの?
AED:電気ショックを与えて心臓を起すだけだよ!
心臓:電気ショックは怖いな〜・・ほかに助けてくれる人はいないの?
AED:震えている心臓を助けられるのは僕しかいないよ。僕に任せて。
心臓:わかった。あなたに任せる!だから早く動けるようにして!!
こうして心臓とAEDは、いっしょに頑張ることになりました。





ではAEDは、なぜお手伝いを探しているのでしょうか?

それはAEDの操作が下記の3つの動作からなりたつためです。
  @電源ボタンをおす
  A電極パットをつける
  B通電ボタンをおす


AEDの機能は病院で使われる心臓カウンター(電気ショック)と同じです。
しかしAEDは法律で認められ、
大人・子供関係なく誰にでも使うことが出来る機械なのです。

使い方が分からなくても自動音声で指示してくれます。
「緑の電源ボタン」をおして、あとはAEDの話すとおりに動作を行ってください。


『電極パットをとりつけして下さい』
白い袋から電極パットを取り出しマークの位置に
電極パットをはります。



『心電図を解析中です。患者に触れないで下さい』
AEDが自動診断します。
必ず患者から手をはなしてください。



『徐細動(電気ショック)が必要です』
徐細動のとき感電してしまいます。
患者さんには絶対に触れないでください。



『患者にふれないで通電ボタンを押してください』
「誰も触れていないか」もう一度周囲を再確認してから
「赤い通電ボタン」をおします。


『徐細動は、必要ありません』
電極パットを付けたままの状態で救急車の到着を待ちます。


AEDは、電気を流すので感電しないように必ず離れましょう。
患者さんと自分の体が水で繋がっていない事にも注意してください。


AEDに入っているもの。


   ナイロン手袋
   人工呼吸用フェイスシルード
   医療用ハサミ
   カミソリ
   タオル


「救命法」は人の命のリレーを繋ぐとても有効な手段です。
もし、あなたの大切な人が倒れて、何も出来ないままで命を落としてしまったら・・・
痛みを知ってから耳を傾けたのでは、後悔が先にたちます。
痛みを知って人は学ぶといいますが、その痛みを少しでも事前に減らすことができれば、こんなにすばらしい事はないですよね。
後悔の泣き顔は、痛みにさえなまれる姿は・・・痛みに苦しむのは・・・見たくはありません。
諦めの笑顔、苦痛の叫び、すすり泣き、自分を責める姿・・・・相手を責める姿・・・・
こんなもの、少ないに越したことはないです。

全国の消防署や日本赤十字病院で「心肺蘇生法」や「AEDの使い方」の講習会がさかんに開かれています。
受講者には「受講書」と「人工呼吸用フェイスシールド」を配布してくれます。
それを携帯するだけでも、救命に対する意識はずいぶんと違ってきます。

大人だけではなく、お子さまを含めた多くの皆様の力が命のリレーを繋いで行きます。
「あなた」と「あなたの大切な人」を守るためにも「救命救急法」を学んでください。

コミュニティー ⇒ 【 オーナーセラピスト ・ AED普及推進 ・ 交流広場 ・ ブログ ・ リンク集 】
Copyright(c) Uminosato. All rights reserved. Since 2004.2.